メイクアップアーティストになるには?資格・仕事内容・給与を解説
主にエンタメ業界や結婚式場などでメイクを担当する、メイクアップアーティスト。ただ、「メイクアップアーティストになるには、どういった進路を選べば良いか分からない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、メイクアップアーティストの魅力やおすすめの教育機関、働く上で気になる給料や成功事例などを解説します。メイクアップアーティストを目指している人はぜひ参考にしてください。
メイクアップアーティストとは
自らの技術や知識で1人ひとりの美しさを最大限引き出せるメイクアップアーティストは、美容業界の中でも人気の高い職業です。そこで、メイクアップアーティストとは何なのか、4つの観点から解説します。
メイクアップアーティストの仕事内容
メイクアップアーティストの仕事は、端的に言うと“プロとしてメイクを行うこと”です。依頼主の希望や撮影シーン、テーマなどに応じて、1人ひとりの魅力を引き出しながら求められているメイクを施します。
似た職種としてヘアメイクアーティストが挙げられますが、メイクアップアーティストとは別の職業です。ヘアメイクアップアーティストはメイクだけでなくヘアスタイリングも担当しますが、メイクアップアーティストはメイクに特化しています。
ただ、業務の範囲は就職先の会社によって異なるため、注意が必要です。メイクアップ専門の会社もあれば、ヘアスタイリングや着付けまで業務内容に含まれる会社もあります。希望のキャリアパスを見据えて就職先を選びたいですね。
メイクアップアーティストの魅力
メイクアップアーティストの魅力は、なんといっても自らの技術と知識でお客様の美しさを引き出せる充実感です。依頼主の希望を取り入れつつ、1人ひとりの本来の輝きを引き出せた瞬間は、何物にも代えがたい達成感を覚えるでしょう。
また、エンタメ業界に携われる点も魅力のひとつです。常にトレンドの最先端で働けるため、最新の技術や知識を持ち続けることができます。
普段は縁の下の力持ちとして働くメイクアップアーティストですが、エンタメ業界は大きな作品に携わったり、著名人から口コミが広がったりと、評価される機会が多い傾向にあります。何らかのタイミングで高い評価を得て知名度が上がれば、メイクアップアーティストとして新たなチャレンジを行うチャンスが舞い込むかもしれません。
メイクアップアーティストの活躍の場
メイクアップアーティストという職業であることに変わりはありませんが、メイクアップアーティストの活躍の場は、就職先によって異なります。
主な就職先は以下の通りです。
- ・メイク専門のプロダクション
- ・エステサロン
- ・ブライダルサロン
- ・化粧品メーカー
それぞれ簡単に解説しましょう。
●メイク専門のプロダクション
メイクアップアーティストとして、最も一般的な進路です。主にテレビや映画、ファッション雑誌やCM撮影現場などのエンタメ業界でメイクアップを行います。
●エステサロン・美容室
エステサロンや美容室に来店したお客様へのメイクアップを担当します。スポットライトを浴びる芸能人やイベント時のメイクとは異なり、日常生活で1人ひとりが輝けるメイクアップを求められる職場です。
●ブライダルサロン
結婚式場などで新郎新婦のメイクアップを担当します。メイク業界のトレンドだけでなく、ブライダル業界のトレンドを踏まえたメイクアップが求められる職場です。
●化粧品メーカー
百貨店などの化粧品カウンターにてメイクアップやアドバイスを行います。場合によっては化粧品の商品開発や自社モデルのメイクアップを任されることがある一方、メイクとは関係ない部署へ転属となる可能性もある職場です。
メイクアップアーティストに必要な資格・求められるスキル
メイクアップアーティストになるには、国家資格である「美容師免許」が必要です。そもそも美容師免許を持っていなければメイクアップアーティストとしてのキャリアを踏み出すことができないので、まずは美容師免許の取得から始めていきましょう。
また、美容師免許があればOK!というわけでもないのが、メイクアップアーティストの難しいところ。以下のようなスキルが求められます。
【メイクアップアーティストに求められるスキル】 ・企画意図や要望を汲み取った上での表現力 ・幅広い要望に応えられる技術力 ・コミュニケーション能力 ・プロ目線での発想力 ・要点を抑えた提案力 ・不規則かつ長時間勤務にも耐えられる体力 |
就職活動や転職活動で上記スキルをアピールするには、民間資格の取得もおすすめします。
メイクアップアーティストに人気の民間資格は、以下の2つです。
【メイクアップアーティストに関する資格】 ・日本メイクアップ技術検定試験 ・IBF国際メイクアップアーティスト認定試験 |
スキルの保持を客観的に証明できるため、自己PRに説得力が増します。決して必須資格ではありませんが、キャリアアップを有利に進めたい人は一度検討する価値があるでしょう。
メイクアップアーティストになるための学校や教育機関(目指す方法)
メイクアップアーティストになるためには、美容師免許取得のほか、メイクに関する技術や知識を身に付ける必要があります。
有名なメイクアップスクールと、働きながら学びたい人におすすめのオンライン教材をそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
有名なメイクアップスクールの紹介
メイクのスクールは日本各地にありますが、中でも以下の3校は口コミ評価が高く、人気です。
- ・【東京】SABFA
- ・【池袋・札幌】ニューヨークメイクアップアカデミー(NYMA)
- ・【大阪】メークアップアーチスト学院
それぞれ簡単に解説します。
●【東京】SABFA
SABFAは資生堂が運営するヘアメイクスクールです。資生堂在籍のヘアメイクアップアーティストから指導を受けられるので、現場に根付いた知識や技術を学べるでしょう。
コースは5つあり、受講者のレベルや目的に合わせて選べます。美容師免許が不要なコースもあるので、専門学校在籍中から通える点も嬉しいポイントですね。
原宿にあるスクールのほか、オンラインでの講座も用意されているので全国各地から学びやすいスクールと言えます。
●【池袋・札幌】ニューヨークメイクアップアカデミー(NYMA)
ニューヨークメイクアップアカデミー(NYMA)は、IBF国際美容連盟が運営するメイクアップスクールです。「IBF国際メイクアップアーティスト認定試験」に対応したスクールなので、資格取得を目指すなら選択肢のひとつとなるでしょう。
通学コースは池袋校と札幌校、ニューヨーク校の3箇所ですが、通信課程も用意されています。スクーリングもオンラインで完結できるため、全国どこからでも通いやすいスクールです。
●【大阪】メークアップアーチスト学院
メークアップアーチスト学院は、メイクアップに関するコースが豊富なスクールです。基礎を学べるベーシックメイクアップコースのほか、撮影現場を想定したプロフェッショナルコース、ブライダルに特化したブライダルヘアメイクアップコースなどが用意されています。
受講期間が決まっていないため、いつでも好きなタイミングで通い始められる点も大きな魅力!仕事や学業が落ち着いたタイミングなど、自分のペースで学びを深められるでしょう。
メークアップアーチスト学院は大阪・梅田にあるメイクアップスクールですが、オンライン授業も提供しています。どこからでも受講できるので、居住地問わず選択肢に入れたいスクールです。
オンラインで学べるメイクアップ教材の紹介
メイクアップアーティストは、オンラインで目指すことも可能です。先述したスクールの通信課程以外に、以下のような教材も検討してみましょう。
- ・PBアカデミー メイクアップ認定講師 資格取得講座
- ・メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定通信講座
- ・エコール ド パリ ヘアメイクスクールの本格通信メイクコース
詳しく解説します。
●PBアカデミー メイクアップ認定講師 資格取得講座
PBアカデミー メイクアップ認定講師 資格取得講座は、独自のテキストと教材で「メイクアップ認定講師」の取得を目指す講座です。
2021年2月に日本トレンドリサーチがインターネットで行った「サイトのイメージ調査」で、通信講座で3冠を達成したことからも注目度の高さが伺えます。
オンラインだと知識が身に付くか不安に感じる人もいるかもしれませんが、LINEや電話で何度でも質問に答えてもらえるので無理なく確実に学びを深めていけるでしょう。
●メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定通信講座
心理的な観点からもメイクを学びたい人には、メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定通信講座もおすすめです。
メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定通信講座は、メイクセラピー検定の試験対策として提供されています。添削問題があり、課題提出後は添削指導を受けられるシステムです。
学習用DVDで知識をインプットした上で、課題提出へ進む形式なので、着実にメイクセラピーの学びを進められます。
●エコール ド パリ ヘアメイクスクールの本格通信メイクコース
エコール ド パリ ヘアメイクスクールの本格通信メイクコースは、個別でリモート授業を受けられる通信講座です。1回あたりの授業時間は40~1時間程度なので、隙間時間に少しずつ学びたい人にもおすすめ!授業のスケジュールも各自で決められます。
驚くべきは授業内容で、エコール ド パリ ヘアメイクスクールの通学コースと同じ内容を個別で受講可能です。希望者はスクールで行われる実習にも参加できるので、無理のない範囲で徹底的に学びたい人は一度検討してみると良いでしょう。
メイクアップアーティストの給料やキャリアパス
職業選択において、給料や将来性は知っておきたいポイントですよね。ここからはメイクアップアーティストの給料やキャリアパスについて、簡単にご紹介します。
メイクアップアーティストの給料の平均的な相場
厚生労働省の就業者統計データ(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/118)によると、全国的なメイクアップアーティストの年収相場は379.7万円となっています。
賞与を考えずに月収換算すると、およそ31.6万円です。
ただ、全国相場なので地域によって差が出ること、就職先やキャリア、スキルなどによって増減することを考えておく必要があります。
実際、令和4年度のハローワーク求人統計データによると求人賃金自体は月収25.1万円が相場とのこと。
スキルや経験値の少ないうちは、求人賃金を参考にすると良さそうです。
キャリアパスの可能性と将来性
では、メイクアップアーティストはどのようにキャリアを重ねていくのでしょうか。就職してすぐにメイクを担当させてもらえるかといえば、決してそうではありません。まずはアシスタントとして、メイクアップアーティストの仕事を覚えていきます。
一人前のメイクアップアーティストとして活躍できるようになるのは、3~5年程度かかるケースがほとんど。それも人によって期間が異なるので、スキルや知識、コミュニケーション能力次第ではさらに年月がかかる場合もあります。
ただ、着実に評価を得ていくと指名が増え、収入UPも見込めるでしょう。その後は、以下のようなキャリアパスが考えられます。
- ・チーフとして後輩の指導にあたる
- ・専門学校やスクールの講師となる
- ・フリーランスのメイクアップアーティストとして独立する
最近では、メイクのプロとしてSNS発信に注力する人も増えてきました。以前に比べて集客ツールが増え、フリーランスとして活動しやすい状況と言えます。
もちろん独立にはリスクが付き物。社内に留まり後輩の育成に力を入れたり、専門学校やスクールなどで自らの知識を提供したりといった、安定の道も選択可能です。
どの道を選んだとしても、生涯学び続けられる点がメイクアップアーティストの魅力でもあります。
メイクアップアーティストの成功事例とアドバイス
最後に、メイクアップアーティストの成功事例を紹介し、メイクアップアーティストを目指す人に向けたアドバイスを綴ります。
成功しているメイクアップアーティストの紹介
これからメイクアップアーティストを目指すにあたって、ロールモデルを見つけておくと自身のキャリアパスを描きやすいでしょう。
世間には数多くのメイクアップアーティストがいますが、特に以下の3名はロールモデルとしてチェックしておきたい方々です。
- ・河北裕介さん
- ・小田切ヒロさん
- ・葉月さん
1人ひとり簡単にご紹介します。
●河北裕介さん
言わずと知れたレジェンド、河北裕介さん。いわゆる「河北メイク」により女優やモデルから絶大な信頼を得ている河北さんは、人気コスメ「&be」のプロデュースを手掛けながら、幅広い年代の魅力を引き出すナチュラルメイクの発信を続けています。
●小田切ヒロさん
SNSでのトップランナーといっても過言ではない、小田切ヒロさん。明るいキャラクターと説得感のあるメイクテクニック、豊富な美容知識と話術で、多くのファンを獲得しています。
テレビでなくYouTubeから知名度を獲得していった点が、令和に生きるメイクアップアーティストのロールモデルと言えるでしょう。
●葉月さん
新鋭メイクアップアーティストとして注目されているのが、サロン「Null」所属の葉月さん。“オーラを引き出すメイク”が大バズりし、2024年6月現在18万人以上のフォロワーを獲得しています。元々は美容師だった葉月さんですが、ヘアメイクアップアーティストになるために美容師を始めたそうです。メイクアップアーティストになるために美容師免許取得を目指している人にとって、大きな希望となるのではないでしょうか。
メイクアップアーティストになるためのアドバイス
最後に、メイクアップアーティストを目指している皆さんに3つのアドバイスを贈ります。
1つめは、確かな技術と知識を学び続けてほしいということ。
美容師免許取得やメイクアップの知識・スキル習得のため、学校や教育機関に通っている人も多いでしょう。メイクアップアーティストは、プロとしてメイクをする立場なので、知識やスキルはある意味“あって当然”と現場では思われています。
だからこそ、継続的な学びが重要です。最新のスキルや技術を習得し続けることが、メイクアップアーティストには求められています。
専門知識のある立場ならではの演出や提案を期待される場面も出てくるでしょう。プレッシャーでもあり、やりがいでもあります。そういったとき、自身を守る盾となってくれるのが確かな技術と知識です。
2つめは、美的感覚を磨く場所へ足を運んでほしいということ。
メイクアップアーティストはセンスも必要な職業です。残念ながら美的センスは、油断すると鈍ります。だからこそ、何か自分の美的センスをくすぐられるポイントを見つけておいてほしいのです。
本や雑誌、展示会やショー、美術館や博物館、映画館や公園、近くの散歩道や海など、少しの時間でも足を運んでみると美的感覚が磨かれるかもしれません。
3つめは、自身の強みを見つけ、差別化を意識してみてほしいということ。
メイクアップアーティストは、全国に35万人以上います。その中で生き残っていくためには、自身の強みを見つけ、差別化する必要があるでしょう。それこそ、先ほど紹介した葉月さんは大きなロールモデルと言えます。すぐに思い付く必要はありません。自分の武器になりそうな強みを探してみてくださいね。