【美容部員インタビュー】勤務歴9年の先輩が語る!仕事の魅力とは?(前編)

美容部員 インタビュー

美容部員として働く先輩OBへのインタビュー企画。今回は、美容部員としてこれまで約9年のキャリアを持つTさんにお話を伺いました。前編では、美容業界へ飛び込むことになった経緯、未経験でスタートした百貨店での仕事内容や職場の人間関係など…「美容部員」という仕事のリアルな裏側に迫ります!

パティシエを目指していた学生時代ー美容業界に興味を持ったきっかけー

そうですね、高校卒業後は製菓専門学校に2年通っていました。

お菓子を作るのも、食べるのも好きでした。ケーキは見た目も大事なので、色のバランスを組み立てながらデザインするんです。何よりも、ケーキの上のデコレーションを作ることが大好きでした。

パティシエに憧れていた時期もあったのですが、転機は2年生の実習で訪れました。

実習で、学校の講師がオーナーをしているお店で働かせてもらうことになったのですが、朝が早いのがとにかくきつくて…

まだ若い当時、みんなが遊んでいる中で、始発バスに乗って通勤する。これを将来もずっと続けていくことを想像すると「これは無理だ!」と思いました。

そして、実習開始から数日以内に、制服をたたみ、別の進路を考えはじめました。

当時、専門学校の卒業を控え「将来、何を仕事にしたいのか?」を真剣に考えるようになりました。

「ケーキ作りが、何故それ程までに楽しかったんだろう?」と自己分析したところ、その答えは「色づかい」にあることに気づきました。

実は、わたしの実家はお花屋さんなのですが、幼いころから色とりどりのお花に囲まれ、色彩の魅力を感じられる環境で育ったことが影響しているなと。

振り返ってみると物心ついたころから、色鮮やかな百貨店の化粧品売り場が好きで、高校生の頃には頑張ってアルバイトで貯めたお金を使い、憧れのコスメを買い集めていました。

ケーキの上ではないけれど「メイクを通して色使いを学んでみたい」と気持ちをすぐに切り替えることができました。

百貨店へ入社ー世界的ラグジュアリーブランドの美容部員になるまでー

わたしは地方都市で生まれ育ったのですが、専門学校を卒業した後は家庭の事情もあり、実家から通える範囲で仕事を探しはじめました。

とにかく色んな会社やブランドのHPを見て求人募集を探しました。ですが、地方都市ということもあり、百貨店にしか化粧品売り場がなかったんです。

そんな中、タイミングよく百貨店「化粧品販売」の求人を見つけました。昔から馴染みのある百貨店で、高校生の時に、頑張ってアルバイトをして化粧品を買っていたのもその売り場でした。

わたしは化粧品も大好きでしたが、中でも世界的なラグジュアリーブランド「C」が大好きで、「C」で働きたいという想いがとにかく強かったです。

通常、百貨店で募集のある「化粧品販売」は、どのブランドに配属されるかは分からないことが大半だと思います。実際、わたしが勤務していた百貨店の売り場でも、ブランド雇用はチーフのみ、それ以外は百貨店雇用というパターンが多かったです。

まずは「求人募集を見ました」と百貨店に電話し、履歴書を持って面接に望みました。

面接時に採用担当の方からは「どこに配属になるか分からない」と言われたのですが、とにかくわたしはブランド「C」への想いが強かったので、「C」で仕事がしたい、「C」の商品の良さ….etc、とにかく意気込みと想いを伝えた面接でした。

未経験で、美容の知識もなかったので、「どれだけブランドが好きか」を熱量で届けることに徹したのかもしれません(今、思い返せば…ですが(笑)

その数日後、百貨店の採用担当の方から「ブランドCでの採用が決まった」と連絡がありました。

未経験からのスタート。どんな仕事内容?

入社後、最初はお会計のサポートを担当していました。

わたしは美容専門学校を出ている訳ではないので、美容の基礎知識がない。タッチアップどころか、お客様とどのように触れあって良いのかも分からない…

そんな、何もかもが1年生だったので、逆に教えてもらうことが楽しかったんです。

仕事の一つに、検品がありました。毎日、商品を検品しながら、商品の名前を覚えていく。

お話したように「色彩」が大好きだったので、アイシャドウやリップを手にしながら、「この色には、こんな名前がついてるんだ!?」と、ひとつひとつが新鮮で、感激しながら商品名を覚えました。

はい、「C」は発祥は歴史あるフレグランスのブランドでもあるのですが、フレグランスの香りをムエット(と呼ばれるペーパー)に染み込ませて、エスカレーターの前でお客様にお配りしながら、新規のお客様を引き込んでいくという仕事もさせてもらっていました。

都心部と比べるとお客様の数が少ない地方百貨店。来店される方も常連のお客様が多く、味があり、深みがあり、人とのご縁を大切にされる方が多かったですね。

毎日、エスカレーター前でご挨拶をしていたので、お客様から「あんた今日も頑張っとうね~」と話かけてくださるようになりました。

わたしにとって美容部員の仕事のやりがいの一つは、こうしたお客様との「出逢い」なんです。なかでも、わたしをめがけてご来店してくださるお客様がいらっしゃるということに、何度も励まされながらお仕事をさせてもらいました。

私自身、これまでの職場では良い人間関係に恵まれたと感じています。

特に、新人時代の上司(ブランドのチーフ)は、美容部員としてのわたしを育ててくれた、「まさに育ての親」と言い切れるくらい、お世話になりました。

百貨店の開店は午前10時で、チーフは通常10時15分出社なんですが、わたしが開店準備を終らせる9時頃に毎朝すっぴんで来てくれて、タッチアップの練習台になってくれました。

その後、タッチアップデビューするまでの数カ月、チーフの協力と指導のもと、わたしは未経験からの美容部員キャリアをスタートすることができました。ほんとに有難かったです。

その後、わたしは20歳~24歳まで美容部員として働いた後、結婚や出産という人生の転機があり、美容部員の仕事を一度、辞めることになりました。

チーフも異動され、一緒に働いたのはわずか2年でしたが、20年近くたった現在も交流は続いていて、チーフをはじめ、当時職場で出逢った方々は、わたしにとって今でも大切な存在です。

「美容部員 | お仕事インタビュー(後編)」では、Tさんの仕事観を通して語られる「美容部員」という仕事のやりがいや魅力に迫ります。続きを読む・・・